能登・輪島市門前町の總持寺祖院。門の周囲には足場や鉄骨が組まれ、足元には倒れた石材が残っています。

境内を訪れると、2024年の能登半島地震が残した痕跡を、建物だけでなく、石の向きにも見ることができます。

180度、向きが変わった石

境内で案内されたのは、大きな石の句碑でした。

そばの説明板には「180度回転し 前後の向きが変わった句碑」とあります。

地震によって倒れたり、位置がずれたりしただけではなく、前後の向きが入れ替わったというのです。

写真だけでは、もともとどちらを向いていたのかは分かりません。現地の説明を聞いて初めて、目の前の石にも地震の痕跡が残っていることが分かります。

180度回転して前後の向きが変わったと説明されている總持寺祖院の句碑と説明板
地震で180度回転したと説明されている句碑。右側に、向きの変化を伝える説明板があります。

住職が語った、回転するような揺れ

住職は、当時の揺れについて、縦揺れとも横揺れとも違い、回転するように感じたと話していました。

地震の揺れを表す言葉として、縦や横という方向はよく耳にします。しかし、その場にいた人が感じたのは、それだけでは言い表せない動きでした。

これは、地震の仕組みを説明する言葉ではなく、住職自身が体験した揺れの表現です。

180度向きを変えた句碑を前に聞くと、その話が具体的なものとして伝わってきます。

門と句碑が伝えること

門を支えるために組まれた構造物と、向きが変わった句碑。

建物の傷みは目に見えますが、石の向きが変わったことは、説明がなければ通り過ぎてしまうかもしれません。

總持寺祖院には、そうした痕跡とともに、そのとき何が起きたのかを伝える人の言葉が残っています。